お米は人が作るものではりません。
人の意志でその場所に育ってもらいたいと
その環境を作ります。
それが田を作り、田植えをすることです。
今は種から発芽することにまで手を掛け
苗になってもらって田に移植するんです。
そうすることで効率が良くなるからなんです。
そうして稲となって米を作り出してくれます。
米を作り出す過程にいては人は手出しできません。
米が出来る環境を作り出しているにすぎないのですね。
昔の米は稲から落ちて次の世代に引き継いでいきます。
旭1号はその当たり前の、種を土に落とすことをやります。
だから脱粒するんだと言われるんです。
落ちない米の方がおかしいのですけどね。
人の手が入ることにより
自然の環境からは遠くなってきましたが
それでもそれを当たり前のように受け入れることも
自然であるのです。
収穫された米は保存できるように乾燥させます。
天日であれ、機械的であれ、乾かすことによって保存できるようになるのです。
そこが食として発展し、種の保存になってきているのです。
米を生産するようになって、この乾燥という行程に目を向けた時期がありました。
昔は乾燥の精度が低く、思った通りにはいきませんでした。
天日であれば天候に左右され、機械では思ったような数値にならない。
当然機械化は効率化のためで
それだけでも随分と楽になってきました。
保存という理由での乾燥
それはそういう事だけなのか?
疑問に思った時期があったのです。
水分量が15%というのが目安ですが
精度が低くあった時代は天候で変わっていました。
そこから乾きすぎると、胴割れが起きてしまい
水分が多いと扱いにくいという事が解ってきました。
食味にも関係するらしいということくらいは解っていたでしょう。
今では乾燥機の精度がもの凄く高くなり
目指す乾燥にする事が出来ます。
水分量を15%と設定すると15%になります。
しかも偏差分布まで出ます。
いやはや凄いですよね。
まだ乾燥精度が不安定だった時期に
水分量から食べ比べをしました。
その結果おもしろいことがわかりました。
すぐ食べるには乾燥が効いていない方がいい。
しかし、保存に向かない。
そして籾すり時にもみ殻が取れにくい。
保存を優先するには乾燥が効いているほうがいい。
しかし胴割れしてしまうと美味しくない。
食味を優先した年には
籾すりを頼んでいた時期ですので
依頼先から文句を言われました。
すぐ食べた人からはすこぶる好評でしたが
保存していた人からは次の年の梅雨にカビが来ると言われました。
乾燥が効いているとあまり美味いと言われない・・・
その数値はどこにあるかと追求したら
美味しい水分量は15.5~16.5%くらい
しかし16%を超えるともみ殻が混じるようになり
籾すりに時間がかかるのです。
籾すり行程で簡単に出来るのは15.5以下
14%にもなると胴割れが危惧されます。
私は美味い状態を追いかけたいので
目指す数字は15.5~15.7%です。
また、美味しいお米にするためには、未熟部分を多少配合する必要があります。
ただ、未熟部分を配合すると水分調整が難しいのですが、味と保存性を高めるためには、手の抜けない作業です。
※美味しいお米を皆様にご提供するには、水分量の細かな調整が必要になります。
一般的には、作業性を上げるため15%程度で行われるそうですが、それでは味が落ちてしまうため、サンクスアイ農場では細かな調整を行っています。