みなさんこんにちは。
ようやく7月28日に、関東の梅雨明けがニュースで報じられましたね!
なのですが、梅雨明け独特の、空気が軽くなった感じはまだ薄く、今日29日はまだ曇天で、もったりした空気、そこまで暑くはないですが湿気が多くて蒸し蒸ししていますよ。
8月から暑くなるとのことで、今のうちに涼んでおこう・・・は、稲も一緒かもしれませんね!
さて、サンクスアイの会員の皆さんが手植えをして下さった苗も、すっかり大きくなりました!
大きくなった!!
そして・・・な、な、なんと!!
茎の根元に、穂の赤ちゃん!!ができていましたよ!!
幼穂(ようぼ)といって、穂の赤ちゃんです。
茎を一本カットしてきて、真ん中からカッターで半分に割ったところです。
写真の下の節から、上に向けて白い小さな筆の先のような形が幼穂です。
今2センチぐらいに育っています。
まるでかぐや姫のようですね!!かわいい!!!
茎もこれだけ大きく成長しています。
写真下の、根元の節に今幼穂が2センチぐらいあって、ぐんぐん上に伸びて、写真上の方の葉と葉の間あたりから、目に見える形で穂が出る(出穂(しゅっすい))まで、あと15日くらいでしょうか。
お盆頃には、また穂の写真をお届けできるでしょう!
さて、田んぼでは、ちと生えた草もスタッフが草刈りに入ってくれて、畝間が見えるようになりました。
そして・・・草が生えたことで、少し肥料切れを起こしたか、ちょっと葉色が淡くなっていたので、追肥の判断をしましたよ。
追肥も同じく、米ぬかを発酵させた自家製肥料です。アースジョイも入っていますよ!
追肥のための機械にたっぷり入れると・・・約40キロ!
それをリュックのごとく背負って、動力となるエンジンをかけて、田んぼの中に入ります・・・
しかもこの日は梅雨の中休みで晴れていて、陽射しもあって暑かった!
しかも、まいていると3分もしたらタンクは空になるのです。
その度に畦に置いてある肥料の袋まで戻ってきては、機械を背中から降ろし・・・
欣ちゃんが、田んぼの中を何往復としていましたよ。
私は畦にスタンバイして肥料を入れる手伝いだけでしたが、それでも汗だくになりました。田んぼの中、これを背負っている欣ちゃんの心中といえば・・・
ビーーーーーーーーーーールーーーーーーーーーーーーー!!!
でしょうね、間違いなく。オツカレちゃんです。
さて、たまには?小難しい話をしようと思います。
追肥とは、字の如く、追加で入れる肥料のことで、
田植え前の元肥や、田植えと同時に入れる同時散布肥料とは区別して、田植え後追加でいれることを言います。
追加する時期によって、稲のどの成長ステージを助けるようになるかが変わってきて、呼び名も違ってくるんですよ。
大きく分けると・・・
○茎肥(茎が育つ時期に、茎を太くするための肥料)
○穂肥(穂が出来る時期に穂が出来ることを助けるための肥料)
○実肥(出穂といって、穂が出前後に入れる肥料)
の三種が主にあるようです。
もちろん、葉色を見ながら、必要ない場合は入れません。
(余談ですが、追肥だけでなく、元肥も同時散布も入れずに、無施肥でされている方もいらっしゃいます。)
そして、追肥も時代とともに変化をしてきています。
戦後しばらくは、多くの働き盛りの男性が戦死されて、残された女性で田仕事も子育てもしなければならない時代でした。
悲しむ間もあったかなかったか・・・想像を絶する大変さだったことと思います。
そうなると、稲作においても、いかに効率よく収量を増やすかが一番の目的になって、実を太らせ多く収穫をしたいと、追肥は実肥が中心だったと聞きます。
当時は、化学肥料が出始めの時代でした。
実肥の時期に化学肥料で追肥を入れると、確かに収量は増えたそうなのですが、
どうやら・・・ご飯の食味がパサパサして悪くなることが、その後の時代とともに、経験で、そして研究で分かってきたといいます。
パサパサして、飲み込みにくい感じ。
私は今年41歳ですが、小さい頃の給食のご飯が思い出されます。
私が子どもの頃といえば、ちょうど高度成長期の終わり頃でしょうか。
お米に限らず造れよ作れよで、どう作るかはあまり気にされていなく、その後の環境負荷も気にされていませんでした。
生活排水が川に流れて、家の目の前の溝もなんだか臭いし、田んぼの取水口も洗剤の泡が渦巻いているような、京都の中心を流れる鴨川でさえ、そんな状態だったことが記憶にあります。
農薬散布も盛んに行われていましたし、お米の味もなんだか美味しくないと、給食の時にも思ったものです。
もっとも私の育った京都は、京料理のお膝元なのに、当時はパン食の方が多かったので、ご飯については少ないという記憶も同時にあるのですが。
そんな頃でしょうか、お隣の滋賀県は琵琶湖を目の前にして、生活排水などが与える環境負荷のことをいち早く実感されたのでしょうか、危機意識を早くから持たれていたようで、
引っ越しをして滋賀に移り住んだ同級生の手紙には、給食はご飯が中心で、班ごとにお鍋などをつついたりして、郷土色豊かです、(デザートも毎日出してくれるんだそうな!!!!)との内容に驚いた記憶があることと、
母が無リン系の洗濯洗剤を買ってきて、環境のことについて話してくれて、滋賀の方々は地域で洗剤に気をつけているんだよ、と教えてくれて、それが今でも記憶に残っています。
実際、滋賀の方々は、いち早く有機稲作に地域で転換されたそうで、私達の先生の稲葉先生も、よく滋賀に指導に出向いてらっしゃいます。
同級生の給食は、そういう地域性が結実した結果だったのかもしれません。
(もちろんずいぶん前から、わが故郷も生活排水は下水道が受けてくれるように工事も進み、鴨川も澄んだ水を取り戻し、鳥たちの熱心な魚を狩る姿が沢山見られるようになっていますよ。)
追肥から話がそれましたが、
つまり、実肥、穂が出た頃に肥料を入れてしまうと、たとえ有機質の肥料でも、肥料養分がむしろ稲の負担となって、
稲がストレスからお米を守るための、プロラミンという、硬いたんぱく質を作ってしまうそうなのです。
まるで鎧(よろい)ですね。
(人間の心理と、とても似ているような気がします・・・。)
このプロラミンのことは、以前にお話ししたでしょうか。
そう、実はお米にもタンパク質って含まれているんです。
日本人は、1日のうちの18パーセント、お米からたんぱく質を摂取していると言われています。
お米には、4種類のたんぱく質があるのですが、
そのうちの一つ、このプロラミンというたんぱく質は水にも溶けない、アルコールにしか溶けない性質で、
つまり、お米を研いで浸水しても、炊いても、唾液でも!体内でも!!・・・なんとも消化できない、硬いたんぱく質なんだそうです。
浸水の際に、中まで水が沁みこむのをブロックする作用があるので、炊き上がりがまずくなり、また、唾液でも溶けないので、食味も硬くなってパサパサと美味しくなくなるんだそうです。
つまり、私の小さい頃のパサパサしたご飯の食感は、稲が実肥でうけたストレスに起因していたのか・・・
・・・か、どうかは定かではありませんが、ない話ではないと思います。
大きくなってから、ひょんなことから情報と記憶が結びつくこともあるもんですね。
今では、一般常識でも、実肥は避けて、その手前でまく、穂肥がいいと言われるようになりました。
更に、稲葉先生は、追肥をする場合は、実肥え、穂肥えよりも・・・さらに手前でまく、「茎肥え」と教えて下さいました。
つまり茎の中・・・茎の根元に穂の赤ちゃん!(幼穂)が生まれるので、穂を大事にするなら、その前の茎を大切にする考え方です。
全てのことは原因が先にあって結果が目の前にあるのですから、その先手を打つ、ということでしょうかね。
愛感謝米が育つ春日部の田んぼでは、毎年田植えと同時に、米ぬか発酵肥料を散布しますが、米ぬかなどの有機肥料の場合、これが茎肥えになるんだそうです。
これは昨年の写真ですが、手前に見える、ベージュ色のものが米ぬか発酵肥料で、田植えと同時に散布しています。
これは茎を形成するころにゆっくりと効いてきて、茎肥えとなるわけですね。
実は、追肥は、元肥が切れちゃったから追加で足す・・・以外にも、やり方としてあるそうですし、
追肥一つとっても、何一つとっても、稲作は本当に奥が深いなと実感します。
さらにこれを業にしようとすると、広い面積を丁寧に、適切時期に作業をすることは・・・本当に至難のワザになります。
今回は、何枚か追肥に入りましたが、なんしか陽射し照る田んぼの中を40キロ背負って往復しないで済むように、追肥になる前に草対策などの技術をブラシアップしていきたいものです。
(もちろん、追肥を入れなくてもいい田んぼもたくさんあるんですよ!)
全国の足腰をきたえたい諸君!!
または、日焼けをしたい諸君!!
田んぼには、日焼けに鍛えるに、うってつけの作業がたくさんありますよ!絶賛募集中!
・・・いえ、日焼けに関しては、訂正します。
見事な白いTシャツを着たかのような、なんともざんねんな職業日焼けになりますよ。
さあ、梅雨も明けたことですし、皆さん夏をめいっぱい楽しんでおすごしくださいね!
網本朝香
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