サンクスアイさんの、愛感謝米の農場がある埼玉県では、梅雨が明けました!
本格的な夏到来!毎日暑いですね!
網本欣一が管理する田んぼでは、中干し(なかぼし)が始まりました。
お隣り春日部市にある、愛感謝米の田んぼでも、もちろん始まりましたよ。
中干しとは、田んぼの水を一度切って、地面を乾かす事です。
下の写真は杉戸町の網本欣一の田んぼの様子、まだ始まって数日ですが、水が引いて地表が見えています。

中干しの目的は・・・
植物は、太陽+水+肥料がそろうと、成長しますが、稲の場合、収穫(穂、実)が目的なので、
茎や葉が伸びる=茎や葉に栄養が使われ過ぎないよう、水を一度切って、背丈の成長をどこかで止めること、
根が水を求めて土中深くに伸び、張りめぐるので、これからの台風のシーズンにも倒れない、根っこがしっかりした株に成長させること、
また、農作業上は、地面が一度固くなるので、稲刈りの際にコンバインが入りやすくなるそうです。
穂が出る30日ほど前から始めて、約1週間~10日間程でしょうか、地表が軽く地割れするまで、慣行栽培、有機栽培かかわらず、行うことが多いようです。
ただこれはあくまで目安、稲の生育調査をして行う事が一番!という事で、欣一社長が生育調査をしていました。
下の写真は、稲の茎を根元から切ったものと、その断面です。


中は空洞なんですね~!
一番下の断面の写真で、根元から3~4センチほど上に節があるのが分かりますか?
根元からこの節までの長さが短く=腰が低いと、倒伏に強いそうで、水を入れっぱなしにしておくと、この節までの長さも長くなり、結果、上背があり、ひょろっとした形に育ってしまうので倒れやすくなるとの事です。
さて、中干しの間、生きものはどうしているの?
水が無くなるわけですから、水が必要な昆虫などは残念ながら住めなくなってしまいます。
(飛べる昆虫などは、飛んで行ってしまいますし、水に生きるもの達は水を用水に落とす際一緒に流れていきます。ドジョウなどは地中に潜るようです。)
ところで、近年トンボが少なくなっているそうですが、中干しのタイミングが関係しているそうで・・・。
トンボは幼虫のヤゴの頃、田んぼなどの、流れの緩やかな水の中で育ちます。
近年、新米を値段の高い早い時期に出荷したい・・・と新米商戦を見た稲作や、台風での倒伏を避けるため、早めに収穫したい・・・と、どんどん田植えが早くなり、したがって中干しも早くなる傾向が関東ではあるようです。
早い時期に中干しをする事で、トンボの幼虫のヤゴが、トンボに孵れず死んでしまい、
トンボの数が減っている一因になっているのでは、と言われています。
ただ、稲葉先生にお会いし、成苗稲作の体系を教わって、稲が本来育つペースに、できるだけ合わせて農作業するようにしてみると・・・
ヤゴが羽化する頃に、ちょうど中干しになり、ヤゴはトンボになれるのです。
きっと、日本では、太古の昔から稲作が広い範囲で行われていて、川の急流ではなく、作られた用水や、田んぼ等の溜め水で生きる・・・トンボをはじめとする、生きもの達がいて、彼らは稲の農作業に合わせて進化してきたのではないかと思うのです。
つまり、稲の成長のペースと、田んぼをすみかにする生きものの成長のペースは、きっとリンクしているのではないかと感じるようになりました。
逆に言うと、現代の日本で、人間が本来の稲のペースから外れて農作業をしていることが、生きもの世界のバランスも崩してしまっているのかもしれません。
田んぼをすみかにする生きものが生きやすい=稲が生きやすい
日本の自然の中の稲作では、切っても切れない・・・生きもの、稲、人の関係があるのかもしれません。
全部を大事になんて、なかなか出来ませんが、切り離せないとわかるだけで、何をするかが変わってくるのでは・・・と、稲の葉のまわりを飛ぶトンボを見ながら思うのです。
今回の生きもの紹介は、毎年羽化し、いのちを謳歌する糸トンボ。
いのちを有機田んぼでつないでいます。

網本朝香